鎌倉メンタルクリニック　院長　渡辺克雄
　メンタルホスピタルかまくら山は、医療法人森と海から医療法人福慈会へ移行後、急速に経営が悪化し、破産に追い込まれました。
医療現場の我々にとっては寝耳に水でした。
東京商工リサーチ
帝国データバンク
 
　メンタルホスピタルかまくら山は、日本で唯一森田、内観入院併用療法を実践している医療機関です。
　世界には 500以上の精神療法が存在していると言われておりますが、その中で、日本発祥の代表的な精神療法には 内観療法、 森田療法の二つがあります。
　これらは、日本の文化に深く根差しており、日本文化の集積地である鎌倉にて行われています。
　また、メンタルホスピタルかまくら山の職員も、オーストラリアの森田療法農場や、奈良の内観寺で研修し、当院にて実践しており、これも本邦唯一であると言えます。
　また、我々は、東日本大震災においては、現地に医師、看護師等を派遣し、被災者への援助をボランティアで行なってきました。そして、今回の能登半島地震や、またその後生じる地域医療の崩壊などの医療計画への参画を検討しています。今後、地方の過疎地における医療崩壊を防ぐべく、各分野との協力を模索しているところです。
　令和 7年 3月 16日には、鎌倉市にて、禅居院住職による『心と禅～臨床宗教師の実践』、メンタルホスピタルかまくら山院長による『かまくら森田療法の実践』等の講演を主催し、法曹界等と連携し、鎌倉、あるいは日本独自の医療体制の構築を目指していたところです。
　今回、メンタルホスピタルかまくら山の破産に対して、我々病院職員は、ただただ傍観するしかなく、無念な思いです。おそらく、現在、日本の文化に根差した森田、内観併用療法を本格的に実践できるのは、本邦では唯一、メンタルホスピタルかまくら山だけであり、この場を失うことは我々にとっても、また、日本の精神医療にとっても大きな痛手となることは間違いありません。この試みは一度失われてしまうと二度と復活する事は無いと考えられます。その試みを継続したく、我々は『鎌倉から、日本の医療を守る会』を結成し、メンタルホスピタルかまくら山破産後の事業継続を運動してまいります。
 
元 医療法人 森と海 理事長　医師　渡辺克雄
メンタルホスピタルかまくら山 院長 医師 渡邉直樹
同　相談室長　精神保健福祉士　山田伸
元メンタルホスピタルかまくら山 事務長　松岡希久男
同　 看護部長　看護師　渡辺すい
同　心理室長　臨床心理士　内田由紀子
東方通信社 代表『月間コロンブス』編集長　古川猛